上の写真は、八戸港周辺の倉庫や工場に囲まれたささやかな空き地に咲くタンポポです…が、実はタンポポが主役ではありません。主役は、後ろに写り込んでいる木組み。これは荷揚げされる荷物の下に敷く「パレット」と呼ばれるものですが、港町という場所はよくよく見れば見るほど木製の木組みが多いんです。荷揚げされた魚を入れるのも木箱でしたし(最近は発泡スチロールになりました)、貨物の運搬にも上のような木組みが使われます。灰色の港湾設備のあちらこちらに、箱が転がっている。コンクリート色と木の色が混じっているのが、港の原風景の色合いと言ってしまっても良いと思います。
ところで、昔は「箱(はこ)」ではなく「函(はこ)」と書いたようで、港町には大抵「◯◯函業(かんぎょう)」といった箱を作る専門の会社さんがあります。業種で言うと「製函業」。認知度は高くないと思うのですが、漁業や工業を抱える港町では、製函業も発達しているんですね。船から上げられたものを市民に運んだり、町の荷物を海の向こうのどこかに運ぶ。その時には、箱が必要。当たり前だけど、意外と知られていないですよね(かく言う僕も、2年前に初めて知ったんですが)。
八戸を含む港町は、決して海があるだけでは成り立たないんですね。たくさんの専門を持つ人たちが集まって、働いて、システムとしての港町を作り上げている訳です。