
Twitterの中で時々議論にもなるんですが、様々な企業や自治体の取り組みが「成功したかどうか?」を、どうやって判定するんだろう?というビジネスのテーマがあります。
僕が勉強したことのあるプロジェクトマネジメントの手法では「成功要件(Success Criteria)」という言葉で表現する概念です。メンバーで一緒に汗かいて、がんばって何かをやろう! という行動を「プロジェクト」と呼ぶ時、そのプロジェクトには必ず成功要件が必要になります。何をやればゴールなのか? っていう大事なことを共有できてないのに、プロジェクトメンバーが同じ方向に走りだすことなんて、無理ですもんね。
さらに言えば、「ホームページをつくろう!」というプロジェクトなら、「ホームページの完成」がゴール=成功要件になりますが、こんなプロジェクトはどうでしょう。「八戸市を楽しい町にしよう!プロジェクト」。
はてさて、これでは成功要件をどうやって測れば良いのかも分かりません。成功を判断できないのに、誰からプロジェクトに必要なお金をもらうことが出来るのでしょう? そんな無責任な話は無いですもんね。そもそもの話として、プロジェクトメンバーは一体何をすれば良いのでしょう?
というわけで、新しい概念を持ち出しましょう。「目標(Objectives)」と「成果物(Deliverables)」です。例えばさっきのプロジェクトなら、こんな感じでプロジェクトの3つの概念をまとめられます。
- 「八戸を楽しい町にしよう!プロジェクト」概要
- 目的(Objectives):八戸を楽しい町にする!
- 成果物(Deliverables):中心街で年間100個のイベントをやって、みんなで騒ごう!
- 成功要件(Succeess Criteria):イベント総動員数・のべ2.4万人(八戸市の人口の1/10)を達成。
...なんて具合に。ここまで来れたら、やっとプロジェクトが形になってきます。次にやらなきゃいけないことは、成果物を実際に行うまでの手順をハッキリさせることです。プロジェクト期間は1年間、その間に100個のイベントの準備と実施を並行して行うわけです。誰が何を担当するのか、必要な機材は何か、当日の天気で対応はどう変わるか? なんて事を、すべて計画して、小さなタスクに落としこんでいきます。Aが終わったらB、Bが終わったらC、CとDが終わったらE...という具合に、個々のタスクは矢印で結ばれた一連の流れになるはずです。
そうすると、こんな心配が出てきます。
このタスクが遅れたら、イベントの実現が危ぶまれるねぇ...大丈夫かなぁ?
これです! これこそ、ビジネス本をたくさん読んでいる人には有名な「クリティカル・パス」です。一番大事な矢印が切れてしまうからこそ、プロジェクト全体が遅れてしまう。そこを切れないようにするには、どうしたらいいんだろ? ってことをマネージメントするのが、プロジェクトマネージメントなんですね。このような考え方は、例えば「大事な仕事が、一人に集中しすぎ!」なんていう問題の発見につながるでしょう(ありがちなことですよね(涙))。
上記のようなプロジェクトを成功に導くためのマネジメント手法を、「制約条件の理論(TOC)」といいます。ちょっと前にブームになった「ザ・ゴール」なんていう本を読んでいる人には、お馴染みかもしれませんね。
実際にプロジェクトの中で働いていると、「どうしてこのプロジェクトはこんなにグダグダなんだ!」とか、「もっと上手くやりくりできる方法があるだろう!」とか、文句の1つも言いたくなります。でも、実際に自分がマネジメントしようと思うと...とんでもなく難しいですよね。思い通りに行かない事の連続に、くじけそうになってしまうこともしばしばです。そんな時は、制約条件の理論(TOC)のように、一通り理論化されたプロジェクトマネジメントの概念を使って、俯瞰でプロジェクトを眺めてみるのも良いかもしれません。
なお現在では、制約条件の理論(TOC)をベースに、さらに検討を重ねた手法に「クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント(CCPM)」があります。これらを一挙にまとめた最新の書籍が「TOC/CCPM 標準ハンドブック」です。プロジェクトマネジメントの手法のスタンダードとして、ディレクションやプログレスマネジメントをする方なら読んで損はない内容だと思います。是非、お試し下さい。
プロジェクトを成功させるために、そして、プロジェクトの意義を噛みしめて仲間と充実した日々を過ごすために、もしかしたら役立つかもしれません。
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